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地方サテライトオフィス開設、育休制度、複業etc. 「言い出しっぺ制度」で自由な働き方を認め、変化し続けるネットワーク型企業~前編~

2017年 3月 30日

(株)FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師 前川孝雄

⑩今回の「人が育つ会社」:株式会社ダンクソフト

 経営改善やビジネスマッチングに関するコンサルティング、地方創生ICTサービス、WEBデザイン、システムソリューションなどを幅広く手掛けるICT企業。1983年創業。1986年に星野晃一郎現社長が代表に就任。早くから育児休業制度の整備をはじめとする女性活躍推進に取り組むなど、社員の意見を大切にした働き方の追求を進める。2011年には徳島にサテライトオフィスを開設し、話題に。「平成22年度東京ワークライフバランス認定企業」、「ダイバーシティ経営企業100選(2014年)」、「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰【輝くテレワーク賞】(2016年)」など受賞歴多数。2017年3月現在、社員数28人、そのほかパートナーシップ契約6人。

3.11を契機に徳島にサテライトオフィスを開設

 ダンクソフトが徳島県の山間部に位置する神山町にサテライトオフィスを開設したのは2011年のこと。東日本大震災と福島第一原発事故、およびそれに伴う計画停電などの状況に対応するため、事業継続の観点からスタートした取り組みだった。

 同社エグゼクティブマネージャーの板林淳哉氏は当時をこう振り返る。

「当社は以前からそうだったのですが、トップダウンでものごとを決めるのではなく、現場から出てくるニーズやアイデアが改善・改革の原点になっています。神山町のサテライトオフィスのときも、マネージャーを含む現場全員で議論して、『やってみよう』と。実は社長は動き出した後から知ったくらいで(笑)。当初は“働き方の多様化”を意識して始めたことではなかったんですが、コミュニケーションやセキュリティなどの観点から、サテライトオフィスでのテレワークが可能だとわかったことで、当社の働き方に関する取り組みも、ビジネスそのものも大きく広がっていくことになったんです」

 今、準備中の拠点も含めて国内外に10のスマートオフィス(サテライトオフィス)がある。場所があり、インターネットがつながればローコストでスマートオフィスは立ち上げることができる。基本的には、「そこに当社で働きたい人、働いてほしい人がいればオフィスを作る」という方針だ。そのほか育児中の女性社員など、在宅で働く社員も多数。全社員のうち、東京・日本橋の本社に勤務するのは半数ほどだという。


Photo by DUNKSOFT / Photography by Yojiro Kuroyanagi


 テレワークに関しては、職場の人間関係をどう構築していくかなど、一般的にはさまざまな課題がある。ダンクソフトはその解決のために、Skype for Businessというサービスを使って、各地のスマートオフィスや在宅勤務中の社員の様子をパソコンの画面上で一覧できるシステムを導入。地理的には離れていても、お互いの顔がいつでも見られる環境を整備した。在宅勤務の場合は、サイト上で映像をONにすれば出社扱いになる。いわばネット上のバーチャルオフィスだ。

ただし、技術を導入すればOKという問題でもない。慣れないうちは「監視されているようで抵抗がある」という人も出てくる。

「そこがポイントですね、そもそも監視するのが目的ではなく、同じ場を共有するための仕組みなんです。だから、ここで『聞いてくださいよ~』なんて感じの雑談もしますし、同じ空間にいるような空気感をどう作ってくかというところを大切にしています。離れて働くからこそ、日常的なコミュニケーションの積み重ねによる結びつきが求められますから」

開発部門のマネージャーも徳島スマートオフィス勤務

 この仕組みを導入したことで地理的条件に縛られない組織運営も可能になった。現在、開発部門のマネージャーは徳島スマートオフィス勤務。また、後述するが、地方在住社員による地域貢献型の新プロジェクトも次々に生まれている。自分の住みたい場所で生活しながら、マネジメントもできるし、自分のやりたい仕事に取り組むこともできるのだ。

 同社では、前述のシステムのほか、本社・スマートオフィスがお互いにの実物大のリアルタイム映像をオフィス内に映し出すシステムも開発している。この技術を使えば、同じ空間にいる感覚は一層強くなる。


「私が神山スマートオフィスでその技術の実証実験をしているとき、本社の社員が、私宛の電話を受けて、『板林さん、電話です』と、うっかりスクリーンに映っている私に受話器を渡そうとしたんです。『おいおい、どうやって受け取るんだよ』と(笑)。でも、そのリアル感こそが私たちの目指しているところなんです」

 もう一つ、“自由な働き方”を象徴する制度が「複業」だ。ダンクソフトでは、同社に所属しながら、ほかにも自分のやりたい仕事に取り組むことができる。「社会貢献活動」という緩やかな定義はあるものの、逆に言えば、それ以上の制限はない。複業先は特にNPO法人などに限っているわけではなく、何らかの社会貢献を志向していれば、一般企業勤務でも、自営でもOK。

「現在、複業をしているのはパートナー契約で働いているメンバーが中心ですが、自分でギャラリーを運営し、アーチストの活動を支援している社員も。どちらでどのくらい働くかといったことや評価に関しては、ケースバイケースなので、一人ひとりと話し合って柔軟に決めています。複業が当社の事業にメリットをもたらす面もありますから、なかなか一律のルールにするのは難しいですね」

 複業に携わるメンバーは、異なるレイヤーをつなげる役割を果たしていると板林氏。働く人は自分の好きなことができ、会社にとってもシナジー効果が期待できる制度だ。

~中編へ続く~

構成/伊藤敬太郎

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(株)FeelWorks代表取締役/青山学院大学兼任講師 前川孝雄

人材育成の専門家集団㈱FeelWorks創業者。約300社で導入される「上司力研修」や「人を活かす経営者ゼミ」、「育成風土を創る社内報」編集などを手掛け、長期伴走型で徹底した人が育つ現場創りを支援。部下を育て組織を活かす上司力提唱の第一人者。親しみやすい人柄にファンも多い。著書に『上司の9割は部下の成長に無関心』(PHP)、『ダイバーシティの教科書』(総合法令出版)、『女性の部下の活かし方』(メディアファクトリー新書)など多数。最新刊『「働きがいあふれる」チームのつくり方』(KKベストセラーズ)はamazon「企業経営」「企業革新」カテゴリー1位、紀伊国屋書店や丸善などで新書1位のベストセラー。