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「自分の人生を、自分の責任で生きることが大事」 ~就労を目指してきたMさんの体験談から学ぶこと~

2017年 4月 13日

Media116

皆さま、こんにちは。統合失調症専門の就労移行支援「リドアーズ」の高橋です。リドアーズでは、利用者様に就職に向けて更にモチベーションを高めていただくため、現在企業でご活躍中の統合失調症当事者の方の体験談を聞く研修を設けています。

今回のロールモデルは、障害者雇用で百貨店に勤務しているMさん(現在43歳)。発病から就労までの経緯、現在のお仕事について、これからの希望、伝えたいことなど、Mさんの想いをお話いただきました。

Mさんの初回の入院は12歳の時。「適応障害」の診断を受け、精神科病院へ入院しました。そして20歳の時に「統合失調症」が発症。当時はまだ多剤大量処方の時代で、たくさんの薬を服薬することになりました。服薬により、統合失調症の陽性症状は落ち着きましたが、陰性症状が長く続きました。

一人暮らしを始め、作業療法室へ通所。そして28歳の時には閉鎖病棟への入院も経験しました。退院して翌年、作業所へ行ってみたものの、一日で通えなくなってしまったそうです。それでもMさんは、できるだけ外に出るため散歩をしようと試みます。4年間、散歩を続けたそうです。

そんなMさんのところに、デイケアを利用していた友人が、就職決定の報告に来ました。彼の話を聞く中で、社会復帰にデイケアが役立つことを知りました。やがてMさんは、デイケアへ行くことを決意します。

街を歩くイメージ画像


32歳の頃、デイケアへの通所を開始。ところがこの時は、デイケアについていけなかったといいます。2週に1回、2時間の通所で精一杯だったそうです。デイケアの他に、地域活動支援センターも利用しました。少しずつ体力がついてきたところで、翌年、自分に負荷をかけるため作業所へ。後にデイケアの利用も、少しずつ通える日数が増えていきました。

Mさんに転機が訪れたのは34歳の時。援護寮で生活していたMさんは、作業所でのストレスで発熱が続きました。しかしこの時、「誰も助けてくれない、自分でどうにかするしかない」と痛感したといいます。この時の経験がきっかけで、Mさんは「自分の人生、自分の責任で生きる」と目覚め、猛烈に努力を始めます。

自分が変わるきっかけを得たMさんは、デイケアで心理教育やSST(社会生活技能訓練)などのリハビリテーションを熱心に受けることになります。デイケアで就労支援を受け、PCスキルを身につけたり人間関係を学ぶ機会も得ました。他に職業訓練所へも通所しました。

リハビリを経て、合同面接会で接客業の仕事を中心に企業面接を受けたMさん。そして36歳の時、百貨店への就職が決まります。努力が実った瞬間でした。

現在は、百貨店催事場にて接客、お会計、袋詰め等売り場の仕事をしています。嘱託社員として勤務し、勤続8年。6時間勤務しています。今年7時間勤務になりそうです。

百貨店催事場のイメージ画像


接客の仕事で心がけていることは、お客様にも従業員にも笑顔で接すること。催事は色々な売り場の仕事があるそうです。ギフト承りの仕事だけ経験してないので、これから覚えていきたいという希望を語ってくださいました。

また、プライベートでは、資格取得のための勉強や、趣味(ピアノや武道、登山や座禅など)の時間を持つようにしているそうです。資格取得の勉強に力を入れ、これまで販売士、ギフトアドバイザー等現在の業務に役立つ資格から、簿記、FP、宅建、行政書士も挑戦しました。社労士の資格を取るため通信制の大学へ通うかも、と希望が膨らみます。「自分にとって資格取得は、自己肯定感を高めるためのものでもある」とMさん。学びは楽しいと語ってくださいました。

最後に、同じ就労を目指す仲間へのメッセージを送ってくださいました。

①仕事を教わる側から、教える側に―――
Mさん:「障がい者は社会経験が少なく、統合失調症の方は認知機能障害がある方もいるので、仕事を覚えにくいということがあるかもしれません。覚えるまでは大変ですし、働いてから健常者との差を感じました。しかし職場では、仕事が出来ることが大事です。頭を下げれば上司や同僚が仕事を教えてくれます。だから覚えるまでは頭を下げ続けました。例え私みたいに覚えが悪くても、8年も仕事してれば覚えることができます。自分が仕事を覚えれば、今度は皆が頭を下げて『仕事を教えて』と言ってきます。今では仕事を教える側にもなりました。」

― Mさんの言葉から、謙虚に仕事を学ぼうとする姿勢を感じました。また、仕事に真摯に向き合う姿勢、誠実に業務に取り組むことの大切さを学ぶことができます。

②「障がい者でも働ける」ということを社会に伝えたい
Mさん:「職場では、勤務時間以外は障がい者ということでの特別な配慮はあまりもらっていませんが、自分の疾患のことを積極的に周囲に話すようにしています。障がいへの理解を求めると同時に、『障がい者でも働ける』ということを周囲に伝えたいという想いがあります。また、自分自身が頑張ることで、後に続く人たち―障がい者雇用で働くことを希望する人たちが働きやすい環境を作れると思っています。」

 ― 障がいを積極的に開示しているというMさん。職場で、自身の障がいや疾患について、誰に、どこまで話すかは多くの方が悩むテーマでもあります。Mさんはご自身が働く姿勢を周囲に見てもらうことで、企業側に、そして社会によき認知を広めていくことを実践されています。

未来のイメージ画像


③自分の人生を、自分の責任で生きる
Mさん:「自分の人生、自分の責任で生きることが大事―そのことに目覚めて努力することができました。今まで人生の中で、他人に理解してもらえなかったり、苦しめられて邪魔されてきたことがあったかもしれない。しかしこれからは、他人のせいにしないで自分の努力で生きられたらいいなと思います。そのことに気づくために、一人暮らしが良いきっかけになりました。一人暮らしを経験してみるのも良いかもしれません。

そして、人間の成長は独特の成長曲線を描きます。辛くても継続が大事だと考えています。続けていくと、ある時急に成長して伸びていくポイントがあります。なかなか思うように行かないことが続いても、負けないで欲しいと思います。

何かに挑戦するとき、それが失敗するリスクは100パーセントではない。でも、もし何もしなかったら、人生の最期に『後悔のリスク』を100パーセント背負います。一度きりの自分の人生、後悔しないように生きていきたい。」

 ― 様々な困難を経験されてきた中で「自分の人生に自分で責任を持つ」ことの大切さを見出したMさん。Mさんにとっての「自立」は、自分の人生を自分の手に取り戻すということだったのかもしれません。

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